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特殊支配同族会社に所属している役員に支払う給与の額数は、損金算入がされるのでしょうか。

 

2010年3月31日までの事業年度に、特殊支配同族会社に当たる法人が業務主宰役員に支給する給与の額数の中で、給与所得の控除額に当てはまる額数は損金算入がされないことが原則です。
ところが、ある特殊支配同族会社の基準所得の額が16,000,000円(2007年3月31日までに開始されるそれぞれの事業年度は、8,000,000円)を超過しない事業年度は、この規定の適用がされないこととなります。
*この特例は2010年の税制改正で、2010年4月1日から終わる事業年度からは適用されないことになりました。

この特殊支配同族会社は、下記のどちらかに当たる同族会社をいい、通常の業務に務める業務主宰役員関連者・業務主宰役員の総員が通常の業務に務める役員の総数の半分を超過するものです。
〈1〉業務主宰役員グループ(業務主宰役員とその関連者をひとつのグループに結んだもの)が当該の同族会社の出資額・発行済み株式の総額・総数の9割以上である数を持っている時の同族会社
〈2〉業務主宰役員グループが当該の同族会社に関する一定議決権の総数の9割以上である数を持っている時の同族会社:議決権が行使できない株主の所有株は除かれます。
〈3〉業務主宰役員グループが、当該の同族会社の株主など(合資会社、合同会社、合名会社に所属する社員)の総数の9割以上の割合で占めている時の同族会社
*特殊支配同族会社の判断は、その事業年度の終わる際の時点の状況からされます。

この制度によって損金算入がされない額数は、その事業年度に発生する業務主宰役員の給与の額数に対して、下記のように計算されます。
<1>業務主宰役員に支払われる給与額が650,000円を超過しない時は、損金算入がされなくなる額数はその全て給与額になります。
650,001円~1,800,000円までの時は、対象の給与額に0.4を乗じた金額が損金不算入となり、1,800,001円~3,600,000万円までの時は、対象の給与額に0.3を乗じた額に18万円を加算した金額が、3,600,001円~6,600,000万円までの時は、対象の給与額に0.2を乗じた額に54万円を加算した金額が、6,600,001円から10,000,000万円までの時は、対象の給与額に0.1を乗じた額に120万円を加算した金額が、最後に10,000,001円以上である時は、対象の給与額に0.05を乗じた額に170万円を加算した金額が損金の額から不算入となります。

*この計算をする時の業務主宰役員の給与の額数には、債務の免除で得られる利益などの経済的な利益の額数がありますが、法人税法第34条<役員給与の損金不算入>の定めで損金不算入になる金額と、退職給与の額数は入りません。
*業務主宰役員として勤務した期間が1年に満たない時は、その常務主宰役員の給与の額数を期間の月数で除して、これに12を乗じた金額が上の業務主宰役員の給与の額になります。なお、この時の損金不算入にされる額数は、上から算出された額数を12で除して、これにその期間の月数を掛けて算出された額数です。
<2>他の特殊支配同族会社から支払われた業務主宰役員の給与額がある時の特例計算:特殊支配同族会社の業務主宰役員に支払われる、当該の事業年度に発生したその業務主宰役員として勤務した期間に応じて、他の特殊支配同族会社から支払われた業務主宰役員の給与額の場合、この給与額の総計を上の算式に当てて計算した額を、その総計の額数で除して、特殊支配同族会社の業務主宰役員に対する給与額数を乗じた額数をその特殊支配同族会社に対して損金算入がされないことにするものです。
この特例の適用をされるためには、他の特殊支配同族会社が証する業務主宰役員の給与額などと、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入の特例計算に関わる明細書(附表)などの書類を確定申告書提出の期限までに添えて提出する必要があります。

特殊支配同族会社中で、下のケースに当たる事業年度は、この定めの適用対象に含められません。
1.基準所得金額が年16,000,000円以上~30,000,000円に満たないことと同時に、その基準所得金額に占める業務主宰役員に支給される基準期間の損金算入給与の平均額数の割合が半分以下となる事業年度
2.当該の事業年度の始まる日の以前の3年内に始まったそれぞれの事業年度の欠損金額や所得金額と業務主宰役員に支払った給与額などに従って算出された額数の平均が年16,000,000円以下である事業年度
*2007年3月31日まで始まるそれぞれ事業年度は、年8,000,000円になります。
*新たに建てられた法人の中で、その基準期間がない特殊支配同族会社は、その事業年度の欠損金額や所得金額、業務主宰役員に対する給与額に従って算出された額数で、上の1または2と同様の判定がなされます。

この制度の適用対象になる法人は、確定申告書にこの定めの適用対象の属する金額の計算、当年度の基準所得金額の計算や基準所得金額に関する計算の明細書と別表を添えて提出することが必要です。

役員に対して支払った退職金は、いつ損金算入すればいいのでしょうか。

 

2006年4月1日から始まる事業年度に、法人が役員に対して支払う退職金で妥当な額数のものは、損金算入がされます。その時期は、株主総会の決議などから具体的な退職金の額数が決まった日の含まれる事業年度になります。
しかし、法人が実際に退職金の支払いを行った事業年度に、損金経理をした時は、その事業年度に損金算入することも可能となっています。

*具体的な退職金の額数が決まる事業年度より前の事業年度に、取締役会で内定された額数を損金経理によって未払い金に計上した時でも、未払い金に計上した時の損金算入をすることは認められません。
*法人が退職年金制度の実施をしている時に支払う退職年金は、その年金の支払いが行わなければならない事業年度が損金参入時期になります。このことから、退職した時の年金の総額を算出して未払い金に計上しても、損金算入をすることは不可能となります。

役員に支払う退職金の損金算入はいつの時期に行えればいいのでしょうか。

 

2006年3月31日までに始まる事業年度に、法人が役員に支払う退職金で妥当な額数については、損金経理を条件にして損金算入が可能となります。その退職金の損金参入時期は下記のようになります。

1.支払わなければならない退職金が株主総会の決議などでその具体額が決まった事業年度で損金経理の処理をした時は、その決まった事業年度
2.退職金の支出をした事業年度で損金経理の処理をした時は、その支払った事業年度
3.法人が退職年金制度の実施をしている時に支払う退職年金は、その年金の支給がされなければならない事業年度
このことから、退職をした時に年金の総計度の計算をして未払い金に計上するとしても、損金算入は不可能となります。この時、退職年金の支給を行う都度退職金に補充する経理をして、確定申告書に損金算入した時は、認められることとなります。
4.具体的な退職金が決まる事業年度より前の事業年度に、取締役会で内定された額数を損金経理することで未払い金に計上した時は、未払い金に計上した時の損金算入は不可能となります。
それから、退職金の額数が決まった事業年度・退職金の支払いが行われた事業年度に、確定されて支払った額数を確定申告書に損金算入した時は、認められることとなります。

また、その額数が具体的に決まった事業年度の後の事業年度に退職金を支払って仮払金とする経理処理をした時は、それからのじぎょ年度に、仮払金を損金経理することで償却しても損金不算入となりますので注意が必要です。

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