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改正後の医療法人のスタイルはどうなるのか説明をしてください。
医療法人のスタイルが2つに分かれ、新法・旧法それぞれの下に医療法人が設立されたものが存在することになります。
回答のポイント解説
(1)第5次医療法改正以降に設立のできる医療法人は以下の通りです。
・社会医療法人=新設の医療法人
特に地域医療に対して公共性の高い存在となるということを、都道府県知事から認定された医療法人。公共性の高い医療というのがポイントです。
・基金拠出型医療法人=新設の医療法人
非営利を徹底させるという位置づけとなっている医療法人です。解散時に残余予算を有している場合、それを国や地方公共団体に分けて譲渡されることとなります。
・特定医療法人=従来と変わらない
今回の法改正には該当しなかった、租税特別措置法により定められている医療法人です。
(2)経過措置型医療法人:平成19年3月までの医療法で管理されていた医療法人であり、経過措置として設けられることとなった医療法人は以下の通りです。
・出資額限度法人
払込出資額を概念として「解散時の残余財産分配請求権」や「退社時の持ち分払い戻し請求権」とした医療法人を目指します。
この出資額限度法人につきましては、基金拠出型医療法人に似たようなスタイルをとっていますが、現在の制度の中では「当分の間」出資額限度法人として継続をすることが許されています。
・特別医療法人
役員の同族支配や残余財産の帰属する先に関しての制限が設けられている法人であり、公共性が高い法人です。
平成24年3月31日以降は、新たに「社会医療法人」に移行することとなりました。
・持分の定めがある医療法人
医療法での医療法人については平成19年3月まで、大抵のものがこれに該当するスタンスをとっていましたが、医療法人に関するスタイルが法的な改正を受けた以後も、「解散時の残余財産分配請求権」や「解散時の残余財産分配請求権」の縛りは「当分の間」以前までの医療法が効力を発揮しています。
医療法の改正に伴い役員の見直しも行われることとなりますが、それについて詳しく教えてください。
医療法が改正されたことにより、役員などについての見直しが行われましたが、「役員の任期と補充」と「監事の職務」についての変更が行われました。
回答のポイント解説
(1) 役員の任期と補充
「医療法人の内部管理体制の明確化」を目的とし、医療法人の運営を行うのが理事の役目であり、業務や財政の状況を管理し監査を行うのが監事の役目です。この理事・監事に対して医療法の改正は新たな規定を設けました。
以前までは役員の任期について明確な定めはありませんでしたが、モデル定款第20条第1項では、「役員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない」と記されていました。
再任を妨げない規定で役員の配置を行うと、事実上無制限の任期を役員は与えられることとなります。
このことは、実際に任期を終えた役員が、再任し続け、継続して職に就いている医療法人を多数生み出してしまいました。
しかし、平成19年4月の医療法改正では、再任こそ認められているものの、任期は2年と定められました。
また、以前まで役員の任期を2年未満と定めていた医療法人は、医療法改正により定款の変更を行うことが必要となります。
そして、医療法改正実施後は、それまでに残っていた期間が役員の任期となるのです。
役員の補充については、理事或いは監事の定数が5分の1以上欠員となった場合に、1か月以内に役員の補充を行わなくてはなりません。
(2)監事の職務
監事の役割は、医療法人の監査を行うことであり、業務にはその透明性が求められます。
監事の職務は、以前まで民法の監事職務に準じていましたが、これからは、公益性の高い医療法人運営のための適正な監査や管理が必要となります。
さらに、民法の規定だけではなく、医療法にも準じるものが監事の職務とされることとなりました。
医療法人が決算時に作るべき書類とその提出期限について説明してください。
税務署に提出する確定申告書以外に、医療法人が決算の際に作成する書類は、「事業報告書」、「貸借対照表」、「損益計算書」、「財産目録」がありますが、これらは会計年度終了から2か月間という作成期限が設けられています。また、都道府県知事に提出する書類の提出期限は3か月間です。
回答のポイント解説
「事業報告書等の作成」
医療法の改正により、医療法人は会計年度終了後から2カ月以内に、事業報告書、貸借対照表、損益計算書と財産目録、その他厚生労働省令で定める書類を作成する規定があります。
医療法人の運営に対する透明性を確保する目的の為に、医療法51条で、義務付けられることになりました。
作成した書類は医療法人の理事から監事に提出されます。監事は提出された書類の監査を行いその結果をまとめる為に監査報告書を作成します。
※事業報告書の記載事項
事後報告書には「医療法人の概要」と「事業の概要」を必ず記載することが義務付けられています。
1:医療法人の概要
医療法人の概要として、設立許可年月日、設立登記年月日、事業所の所在地、役員及び評議員、を報告書に記載する必要があります。
役員や評議員についての記載は、理事長、理事、監事と評議員の氏名や職務を記載するのが一般的となっています。
また、社会医療法人と、特定医療法人及び特別医療法人を除く医療法人はこの義務付けはありません。
そのため、一般の医療法人については役員・評議員の記載は必要としません。
2:事業の概要の記載
本業における業務、付帯して行う業務、収益が発生する業務
以上の内容を報告書に記載することが義務付けられています。
さらに、作成年度内の、社員総会・評議委員会で、議決・同意した事項を記載する必要があります。
※また、「事業報告書」、「監事が作成した監査報告書」に関する内容を記載した書類を毎年の会計年度終了後3か月以内に都道府県知事に提出しなくてはなりません。
それらを怠った場合や虚偽が発覚した場合には、20万円以下の罰金等を支払うことを命じられます。
医療法人の設立許可書を提出する際に必要となる書類を教えてください。
債務リース引継承認書医療法人を設立する際、まず、最初に各都道府県で仮受付を行うことになります。その時、設立許可申請書へ添付して提出する書類があります。以下
定款
設立当初財産目録・財産目録明細書
基金拠出契約書
預金残高証明書
開設予定の診療所の概要
不動産等を賃貸借する場合の賃貸借契約書のコピー
診療所の平面図
土地建物登記簿事項証明書
印鑑登録証明書
役員及び社員名簿
役員就任承諾書
実績表
委任状
確定申告書
リース物件一覧表
債務リース契約書のコピー
設立者の履歴
理事長の医師免許のコピー
管理者就任承諾書
保健所の開設届(個人分)コピー
以上
仮受付を行う時の書類は一部ずつで事足りますが、本申請の際には二部ずつ必要となります。(都道府県保存用と許可書交付用)
医療法人の設立内容や、規模によって必要となる書類はそれぞれに異なりますが、事業計画書、委任状、予算書に関しては、個人での開業の実績が二年を超えており、尚且つ一定の要件を満たしていれば添付の必要がなくなります。
都道府県によっては、理事長が基金拠出をする際に特別代理人を立てなくてはならない時もあります。それぞれ対応が異なりますので、各管轄の医療整備課で内容の確認をしなくてはならないでしょう。